12 いぼ
前回「タコ・魚の目」についてお話ししましたが、今回はこれらと間違えられることも多い「イボ」についてお話ししたいと思います。
■イボとは?
みなさん、皮膚に出来た小さな「できもの」をよく「イボ」と呼んだりしますよね。
この「イボ」、医学的には「疣贅(ユウゼイ)」と言い、その原因は「ヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)」と呼ばれるウイルスです。このウイルスは実に100種類以上が確認されていて、種類によって様々な症状と外観を呈します。
なお、ウイルスを含まない「老人性疣贅」と言うものもありますが、ここではウイルスを含む疣贅についてお話しします。
さて、ここでお話ししていると、疣贅は足にしか出来ないと思われるかもしれませんが、実は足を始め手や体の様々な部位に出来ます。通常は、触れただけでは感染しませんが、傷などにウイルスが付着すると感染します。特に傷が出来やすい手足は好発部位と言えます。
■疣贅の種類
ウイルスの種類によって様々な症状と外観を呈するとお話ししましたが、全てについてお話し出来ませんので、ここでは足に出来るタコや魚の目と間違えやすい疣贅について見てみます。
文字通り、足の裏に出来る疣贅です。特に魚の目に似ている「ミルメシア」には注意が必要です。イジったり切ったりすると感染が他の部位に拡がります。※1型ウイルスが原因
タコや魚の目と間違えやすい上記2つの疣贅ですが、これらとの鑑別点としては以下の2つが揚げられます。
①表面が‘カサカサ’している。
②切ったり削ったりすると、表面に赤い点もしくは赤黒い点、つまり出血点が見える。
※特に②についてはタコ・魚の目との大きな鑑別点となります。
■疣贅の治療方法
・凍結療法
もっともよく行われるもので、皮膚科や形成外科で行われる液体窒素で疣贅を凍結させる方法です。これは、極低温で疣贅を凍結させ、ウイルスを死滅させるものです。ただ、治療の性質上局所的に凍傷を生じさせるため、少々痛みが伴います。治療は、数回に渡って行います。
・内服治療
ヨクイニンと言う薬を服用する方法。あまり有効性は高くない様です。
・外用薬治療
MCAやTCAと呼ばれる薬剤を塗布する方法。
・レーザー照射療法
直接的に疣贅を除去する方法です。除去には痛みが伴うので、局所麻酔を用います。数回に渡って行うこともあります。
・その他
電気照射、PDT など
以上、疣贅についてお話ししました。
疣贅は気になって自分で切ったり削ったりすると、大きくなったり余計に拡がったりする事がありますので、「あれ? イボかな?」と思われたら迷わず皮膚科を受診してください。足裏の疣贅は完治までに時間が掛かかりますが、根気よく続けることが重要です。